ペン軸

革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店スタッフのよちこです。将棋で例えたら、二歩です。

今回のテーマは「ボールペンの汚れ」についてです。

お仕事で使っていたりすると、知らないうちにインクがついてしまうことってありますよね。

誰かに教えてもらったりして後で気がつくのですが、精神的ダメージが結構デカい。

はたしてボールペンのインク汚れを消すことが出来るのでしょうか。検証してみたいと思います。

「さぁ、いっちょうブワーッといくか!」

あなたを襲う身近な恐怖、ボールペンからの物体X(インク漏れ)

「あのね私のポケットにね、ボールペンのインクがボワワーンっとね。出ちゃったんですよね。」

証言者のF氏は我々の取材に対して、衝撃の事実をこともなげに語り始めた。

その惨劇は某日の午後、販売業務のさなかに発生した。

いつも胸元に忍ばせているF氏お気に入りの高級ボールペン、そのペン軸から突然インクが溢れたのである。

胸元はインクまみれとなり、シャツは台無し。

長年の相棒であるボールペンに裏切られたF氏の心境は、いかなるものだっただろうか。

そのへんぶっちゃけどうでもいいんですが、インクのシミを取るのにどうしたらいいのだろうか。

これはかばんでも起きそうなことなので、ぜひとも解明せねばなるまい!

ボールペンの汚れを取る方法について調べてみた。

ってことでボールペンのインクの汚れを取る方法について、F氏もいろいろ調べてくれました。

なんでもエタノールには油分を分解する作用があり、クリーニング効果が期待できるとのこと。

「亀の甲より年の劫」といいたいところだが、どうやらパソコンでググったみたいです。

帆布の生地を汚してみる。

当店のかばんによく使っている帆布生地、バイオ帆布です。微生物の作用でセルロースを分解する、なんたらかんたら…

言葉の意味はわからんが、とにかくすごい帆布。くったりした手触りが個人的には大好きです。

それではこの帆布を台無しにしてみたいと思う。

でいやぁあああ!(プスリ)

気合一閃、生地も突き抜けろとばかりに、ボールペンを突き立てます。

ご覧のとおり、インクが染みてしまいました。

では、さっそくこの汚れをどうにかしてみましょう。

(だがこの辺りで、もうダメかもしれんねという嫌な予感はしていた。)

「消毒用エタノール」で消してみる。

「先生、よろしくおねがいします!」

「ど~れ~」

時代劇に出てくる地回りの用心棒(いつも峰打ちでやられる)のごとく登場したのは「消毒用エタノール」です。

先生あんな汚れやっつけちゃってくださいよ。

それではエタノールを汚れに直接、ぶっかけちゃいます。

みるみるうちにサーっとインクが薄くなっていく…これでいいんだろうか。

布の切れ端で上下挟み込んでから、指でトントン叩いてインクの汚れを吸い上げます。

高橋名人の16連打には及びませんが、4連打くらいはできらぁ。

こうして叩き続けること数分。

汚れはたしかに薄くなったものの、その範囲はむしろ広がっていくことに気がつく。

だめだこりゃ。

その後、水道水で洗ってみましたが、いっさい効果なし。

君の冒険は終わった。

ここまでの途中経過です。

  • 1.エタノールには汚れを溶かす効果はあるものの、インクを除去することはできませんでした。
  • 2.これは汚れそのものの総量が多すぎたことが原因であると考えられます。
  • 3.このレベルではさすがに無理でしたが、落書き程度であれば可能性がありそうです。

ボールペンで書いた落書きは消せるか?

インク漏れはダメでしたが、ボールペンで書いた線ぐらいなら消せるんじゃないだろうか。

せめてこのくらいは取りたいよね。ということで、使い古しのバッグにらくがきを書いてみました。

それではさっきの手順通り、試みてみます。

エタノールを染み込ませて、布でトントン叩き続けます。やはりひたすらに地味な作業です。

ウホッ!取れた!ボールペンで書いた落書きが、すべて跡形もなく消えました!

ボールペンの汚れ、なんぼのもんじゃい!

結論:ボールペンで書いた落書きとか線くらいなら、エタノールで消すことが出来る。

うっかりボールペンでつけてしまったあの汚れ、ひょっとしたら取れるかもしれませんよ。

よかったらお試しあれ!