2019年1月17日

革小物

皆様こんにちは、鞄工房山本の晴之です。
世間では成人式が行われましたね。遡ること8年前が私の成人式でした。奈良県橿原市は小さな規模でささやかな式が執り行われておりますが、
聞くところによると、京都市は規模が大きすぎて、毎年みやこめっせで開催されるらしいです。
久しぶりの同窓生に会うのも一苦労です。

こんな成人式もあります。
私の母校は、全校生徒の半数を帰国子女が占める、プチグローバルな中高一貫校でした。
私は日本生まれ日本育ち、日本から一歩も出たことのない純日本人で故郷はもちろん日本です。が、しかし、それに対して友人の帰国子女たちの故郷は世界各国でした。
中には小さい頃から両親が世界を飛び回っていたため、自分の母国はどこ? なんて友人もいました。
成人式の一番の楽しみは、青春時代を共に過ごした中・高等学校の仲間に再会できることです。
ですが、彼らは成人式の為に母国に帰っても青春時代の友達には会えませんし、そもそも帰る国がない人も。
それではあまりにも寂しい! ということで、母校で成人式を開催しちゃうんです。

侮ることなかれ。ただの真似事ではありません。同窓生のほぼ全員が集まり、本来の成人式同様、男子はスーツや袴、女子は晴れ着姿です。
先生方もわざわざ出てきてくださり、盛大に祝ってくれます。
もちろん二次会もあります。ここからは先生方はご退場、女子はお色直しでドレス姿に。
私の代では近くのお店を貸切り、20歳なのでお酒解禁、みんなで乾杯して昔話に花を咲かせました。私たちにとっては、母校がもう一つの「地元」なのです。

これを書きながら、「いい学校だったなあ、みんな元気かなあ」と少ししみじみしてしまいました。
いけない、本題に参りましょう。今日は色のお話。

ヌメ革で、染めていなくて、素仕上げである「生成り」

ヌメ革」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
革の鞣し方は主流の方法が3種類あります。「タンニン鞣し」、「クローム鞣し」、「コンビネーション鞣し」の3つです。
ここでは細かい説明は割愛しますが、ヌメ革とは、タンニン鞣しによって鞣された革を指します。

鞄工房山本ブランドで取り扱いのある本革小物の色の中で、ヌメ革は二色。「憲法黒」と「生成り」です。
今日はナチュラルな「生成り」をご紹介しましょう。

鹿革の名刺入れ

その前に、注意!こちら必ず「きなり」と読んでください! 間違えて「なまなり」と読もうものなら、それはそれは恐ろしいことに……
「なまなり」とは能面の一つで、般若になる前の女面のことです。
サイトで見つけた画像を参考に画像を載せようとしましたが、小さい子供なら泣かせられるぐらい怖かったので控えておきます。検索もオススメしません。

気を取り直してこちらの生成り、特別な上質の鹿革の中でも、一際特別な色です。
以前、「染めていない革」として「月白」をご紹介したとき、生成りも写真に写り込んでいました。そう、生成りも月白同様、染料0%の鹿革なのです。
同じ染料0%でも月白は白色をしている一方、生成りはベージュっぽい? なんで? それは鞣し方の違いによります。詳しくは復習しましょう。下の記事をクリック!

★過去のブログはこちらから
<2019年1月3日>「月のように幻想的な、月白の革製品を持って新しい自分を発見してみる」

タンニン鞣しですと、染めていない状態がこのベージュっぽい色になるのです。
そもそも「生成り」とは、フランス語の「ecru」を訳した言葉です。日本古来の伝統色ではなく、西洋由来の色名なんですね。
「ecru」とは、「素材のままの、未加工の」といった意味合いです。また、 ecru は色名でもあり、少し黄色みがかった白色を指します。

当店の「生成り」はベージュっぽい色合いをしています。実は「beige」も、ecru と少しニュアンスは違いますが、もともとは「未加工の」といった意味なんですって。
ということで、当店では「生成り」の英語表記を「ecru beige」としております。いや、「ecru beige」の日本語表記が「生成り」でしょうか?

鹿革の名刺入れ

ヌメ革といえば、エイジング

革好きの皆様なら、「ヌメ革」と「エイジング」という言葉が紐づくかと思います。または「経年変化」。
ヌメ革の醍醐味は、まさにそこです。

手にしたその瞬間から、言葉どおり自分色に染めていけるのがヌメ革の魅力。
ヌメ革製品は、普段使っているうちに日光や手脂を吸収し、唯一無二の風合いを宿していきます。
時間とともにどんどん手に馴染んでいくその感覚には、「革を育てる」という言葉がピッタリ。
特に、当店の「生成り」ならその変化は顕著に現れます。使い始めは薄い色ですが、使っているうちに革の表面が段々と飴色に変化していくのです。
使い方によってその変化は十人十色。タンニン鞣しの特徴として「クローム鞣しよりもキズや汚れがつきやすい」ということがありますが、
それすらも愛せるポイントとなり、エイジングを楽しめそうです。
ちょうど生成りの名刺入れを愛用している美人スタッフがいたので、新しいものとエイジングしたものを見比べてみました。

鹿革の名刺入れ

3年弱使用してここまで馴染みました。牛革のヌメに比べると変化はゆっくりですが、ここからまだまだ色が変化していきます。

ここで一つ疑問が。生成りのブックカバーを使い込むと、本を持つ手の形に色の変化が起こったりするのでしょうか。どなたか検証してくださる方を募集します。
すみません、冗談です。

シンプルなデザインで特に経年変化を楽しんでいただけるヌメ革の鹿革小物。
普段愛用されているお財布や定期入れなどレザー小物や、ファッションにも合わせていただきやすいおしゃれなアイテムは、
それぞれに高い機能性を持ったメンズ・レディース問わずプレゼントとしても人気の逸品です。
ボックスにリボンを添えた無料のギフトサービスもございますので、是非ご利用ください。(商品価格の合計が20,000円以上のご購入で送料無料となります。)

最後に、生成りのアイテムの集合写真でお別れしましょう。

鹿革の名刺入れ

  • 長財布(小銭入れ・スナップボタン付き)生成り……38,880円(税込)
  • ブックカバー(文庫本)生成り……16,200円(税込)
  • 名刺入れ 生成り……16,200円(税込)
  • 名刺入れ(バイカラー)空色 × 生成り……12,960円(税込)
  • 名刺入れ (バイカラー)千歳緑 × 生成り……12,960円(税込)

鞄工房山本 晴之